第25話 「雪よりも冷たく」
クリスマスの朝、新しく生まれ変わってやり直すことを胸に誓い、バートは町まで仕事を探しに出掛けていきました。朝焼けの中線路の上を辿るバートの心は希望に包まれていましたが、物思いに囚われていたバートはカーブを回ってきた列車に気づくことが出来ませんでした。そして迫り来る列車は無慈悲にもバートの体をのみこみ、トーマス家の人たちはまだそのことを知る由はありませんでした。朝食の仕度をしながら、アンからバートが仕事を探しに出掛けていったことを聞かされたジョアンナは、今度こそ一家に幸せが訪れる事を疑いませんでした。でも夜になり、子どもたちが寝る時間になってもバートは町から帰って来ません。繕い物をしながら一人待っていたジョアンナは、イブにツリーの前で二人で踊ったことを思い出し微笑んでいました。するとノックの音がし、ジョアンナがドアを開けると鉄道会社のジェイソンが立っていました。ジェイソンはバート・トーマスが列車に引かれて亡くなったことを告げにやってきたのです。ジョアンナは、思わぬ悲しい知らせに呆然とするしかありませんでした。朝になって起きて来たアンは、ジョアンナがぼんやりとゆり椅子に座っているのに気づきました。髪はほつれに深いしわを刻んだジョアンナは、不思議そうに顔を覗き込むアンに、バートが死んでしまったことを知らせます。信じられない出来事を聞かされアンは悲しみに震えるばかりでしたが、ジョアンナに助けを求められて覚悟を決意します。アンはこみ上げる涙をこらえ、ジョアンナの頼みを果たすため必死に動き始めるのでした。