第26話 「さようならトーマス家」
バートがいなくなったトーマス家には、お葬式のためにジョアンナとバートの親戚がやって来ていました。アンはとうとう孤児院へやられてしまうのではないかと、これからの自分の身の上を考えると不安でなりませんでした。ジョアンナの両親がバートの残した借金を清算し、ジョアンナと子どもたちを引き取ることを告げると、すっかり弱ってしまったジョアンナはそれに同意します。しかし自分たちもそれ程裕福でないジョアンナの両親は、トーマス家と血のつながりのないアンは孤児院にやると決めていたのです。ジョアンナは両親に一緒にアンのことも頼みますが、反対に両親からもうこれ以上苦労をかけないで欲しいと言われると、それ以上続けることはできませんでした。アンはとうとう孤児院に行かなければならなくなったのです。扉の向こうで大人たちの話を聞いていたアンは、ただ呆然と立ちすくむばかりでした。町の雑貨屋では、ハドソンさん夫婦やマディが孤児院にやられることになったアンの身の上を話し込んでいました。いつしか町の人はトーマス家に預けられていた元気で明るい赤い髪の少女のことが気になっていたのです。しかし孤児院へ行かされるアンを無常と思いながらも、かわいそうなアンを引き取ると言い出だす人は誰もいませんでした。ホーレスたちもバートとの約束が守れないのが悔しくて仕方ありませんでしたが、どうすることも出来ないでいました。そんな時、見かけない男の人が孤児の女の子のいる家を探してトーマス家へとやって来ました。その人はハモンドと名乗り、森で製材所を営んでいること、赤ん坊をたくさん抱えて大変な妻のために、子守りのできる女の子を探していると話し出しました。そしていまだ悲しみにくれているアンやトーマス一家を前に、自分がアンを引き取りたいと申し出たのです。