第29話 「ハガティさんの秘密」
ある日アンは、あのいまいましいそばかすが一つ消えている事に気づきました。そばかすが消えると良いことが起こると知っているアンは、早速ヴィオレッタにも報告をします。そして、ケンドリックから今日こそ学校へ行けると聞かされ、アンの素晴らしい一日が始まりました。夏以来行っていなかった学校を思い、微笑みながら坂道を降りていくアン。ところが、道の途中にお産婆さんのハガティさんが足を押さえてうずくまっていました。ハガティさんは人に心配されるのは嫌いだといって心配するアンを追いやり、ふらふらと歩き出しました。アンも今日こそはと、待望の学校に向け坂を下り始めましたが、やはりハガティさんが心配でなりません。結局アンは学校へ行くのをあきらめ、二人は支えあいながら丘の上のハガティさんの家を目指して行くのでした。ハガティさんの家は、紅葉に囲まれ、とりどりの秋の花が咲き乱れる庭のある小さな美しい家でした。アンはお礼だと言われお茶を勧められますが、ハガティさんの足を気遣って自分がお茶を入れることにします。二人でお茶を持って庭に出ると、アンはハモンドさんの家で我慢していたおしゃべりを始めました。ハガティさんの家に来る途中、昔ハガティさんも赤毛だったこと、赤毛の髪の色が変わるということを聞き、アンはそれがどんなことなのか自分の赤毛もいつか黒髪になれるのだろうかと興味津々だったのです。ハガティさんもまた、年を取って頑なになっている自分の心にすんなりと入り込んできたアンに優しい気持ちになっていたのでした。