第31話 「ただひとつの希望」
心臓を患っていたケンドリックは、たくさんのことをやりかけたままとうとう天に召されて行きました。どうして人は死んでしまうのか、ケンドリックはバートと同じところに行ったのだろうか、アンは涙を流し静かに降る淡雪を見つめていました。葬儀の後、一家の稼ぎ手を失ったハモンド家の人たちの将来を決めるため、ケンドリックとシャーロットの親戚たちがハモンド家に集まってきました。彼らは悲しさ呆然としたままのにシャーロットを尻目に、勝手に子どもたちを引き取る手配を進めてしまいます。しかし、誰一人アンのこと見ることも考えようともしてくれません。その姿に、アンは自分に運命の時がやってきていることを感じ、悪い予感に震えるのでした。とうとうシャーロットも子どもたちも皆ばらばらに別れて行くことが決まってしまいます。慌しく出発しようとする大人たちを前に、不安な気持ちで一杯の子どもたちの声がキッチンに座り方針したままだったシャーロットの耳にも届きました。シャーロットは漸く訪れた深い悲しみの心にわななきながら地下に駆け降りると、仕舞ったままだったケンドリックから贈られたペンダントを取り出して激しい慟哭の声を上げるのでした。子どもたちの出発間際、親戚の人々はすっかり忘れていたアンに気付きます。大人たちから迷惑そうに見られ、アンは怒りと屈辱で思わず癇癪を起こしてしまいます。そして部屋に駆け戻って泣いていたアンを待っていたのは、孤児院という運命だったのです。