第36話 「希望の手紙」
春になり、アンが孤児院にやってきてから4ヶ月がたとうとしていましたが、アンは今もみんなの中にとけ込めないままでいました。甘えん坊のテッサは、デラの世話をしているうちにすっかり強くたくましくなっていき、同じ年頃の友達もできた今では、アンの分までデラの世話を買って出るほどになりました。アンはそんなテッサの成長を嬉しく思う反面、自分だけが一人ぼっちで寂しいと感じてしまうのでした。ある日中庭で、アンは今はいないケイティ・モーリスやヴィオレッタに話しかけながら、これまで出会ってきた人たちのことを思い出していました。今のアンは、誰かを大切にしたり誰かに大切にされることが本当に素敵なことだと心から思わずにいられなかったのです。その時、アンのいる方にエドナが現れました。エドナはアンに気付かないまま物置に入って行きましたが、暫くすると物置からは「ジュディ」と呼びかけるエドナの声が聞こえてきます。不思議に思ったアンがエドナが立ち去った後物置を覗いてみると、中はからっぽでアンは驚き戸惑うばかりでした。ちょうどその頃、院長先生のカーライル女史は、プリンスエドワード島に住むスペンサー夫人からの手紙を読み上げていました。その手紙には孤児院の11歳の女の子を一人引き取りたいと言う申し出が書かれていたのです。アンとエドナ、孤児院にはその時二人の11歳の女の子がいたのです。