イオニア海を望む朝のパトラの港。ミーナの消息をたどってようやく港に着いたものの、ポルフィは途方にくれてしまう。港をうろうろしていると、石段のそばに物乞いの老婆の姿に気づく。自分で知らないまま、ポルフィはミーナと同じように一枚の硬貨を空き缶へ差し出した。去り際に老婆から名前を聞かれたポルフィは、ふとミーナを探していることを話す。すると目の不自由な老婆は、ミーナが船に乗ってイタリアへ渡ってしまっのだと言う。不思議な老婆は、どんなに悲しいことも、苦しいことも、長い長い旅の終わりには、想い出が癒してくれるはずだとポルフィに語りかける。ミーナの心の悲しみと自分自身の悲しみをあらためて思い、ポルフィはたまらずに海へと向かって号泣する。泣き明かしたポルフィはミーナを見つけようと固く決心するが、イタリアへ渡るための船賃さえ持っていなかった。ポルフィは船賃を稼ぐために、親切な男に教えられて壁のペンキ塗りのアルバイトを始めるのだった。
はぐれてしまったミーナを、ポルフィは町中で必死に探し回っていた。混乱しているミーナは街道をひたすら歩いていたが、途中でトラックに乗ったおばさんに拾われ、パトラの港へと行ってしまう。そのころ救護所では、見つからない二人を心配してみんなが帰りを待っていた。「いつまでも親友」と約束したポルフィを思って落ち込むザイミスを、エレナは慰めるしかなかった。賑やかなパトラの港の居酒屋では、旅の一座が商売に精を出していた。一座のイザベラは、港をさまよっているミーナに亡くした娘の面影を重ね、じっと見入ってしまう。イザベラはミーナに声をかけるが、ミーナは港を行き交う人の中にアネークの後姿そっくりの女性を見つけ、イザベラを振り切って行ってしまう。ミーナは母に似た女性を追いかけて船に乗り込んでしまうが、思わず抱きついてしまい人違いであることに気づく。しかしその時、船はミーナを乗せたまま出港してしまう。
地震からひと月がたった。救護所での生活にも少しずつ慣れてきたが、ミーナはあいかわらずしゃべらないままだった。ある日ポルフィが車の修理をしている間に、ミーナがいなくなってしまう。大慌てで探し回ると、ミーナは海辺の岩陰で歌っていた。そして、ザイミスの母ドリーのもとに手紙が届き、救護所を出て親子で遠くの叔母の家に住まわせてもらうことになる。ザイミスが居なくなることを知り、不安に駆られるポルフィは、ミーナがアメリカへ養子にもらわれるという話も立ち聞きしてしまう。大きなショックを受けたポルフィは、ふたりですぐに救護所を逃げ出そうとミーナに話す。海辺の岩陰を待ち合わせ場所に定め、ふたりは見つからないようにバラバラに救護所を出てきたが、海辺へ向かう途中、小道に止めてあった自転車に気を取られ立ち止まるミーナ。街で見た「パリの花束」のワンシーンを思い出し、嬉しくなって自転車に触れていると、やって来た自転車の持ち主に盗もうとしていると誤解されてしまう。怒鳴られてパニックになったミーナは、海辺とは違う方向に走っていってしまい、ふたりはそのまま離れ離れになってしまった。
ザイミスの母ドリーの産んだ赤ん坊は、エルピーダと名づけられた。ポルフィは仕上げておいた天使の人形をザイミスに手渡す。救護所では被災した人々が立ち寄り食糧の配給を受けていた。ポルフィもミーナと一緒にテントの周りでパンとスープの食事をとっていたが、食欲のないミーナが心配になる。そばにいたダモンが怪我のせいで食事が不自由なことに気づくと、ポルフィは父母の死に動転して怒鳴ってしまったことをダモンに謝った。救護所にやって来た自動車が、親を失った小さな女の子を乗せて去っていく。ザイミスに、その子が養子にやられていくのだと教わったポルフィは、自分もミーナと離れ離れになるのではと不安になってしまう。シスターのエレナにミーナとは絶対に離れないと告げたポルフィは、次の日の朝、こっそり救護所を抜け出し、ミーナの手をひいて家へと戻っていった。