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【2008年10月 バックナンバー】



第43話 「友よ」


(2008年10月26日)

43.jpg大切にしてきた父の形見の工具も盗まれてしまい、打ちひしがれ当てもなく旅を続けるポルフィを慰めてくれるのはギリシャからずっと一緒に付き添ってくれたアポロだけになってしまう。秋の気配の深まる農村地帯をとぼとぼと歩き続けるポルフィだったが、途中で出会った農家の夫婦に親切にされ、ようやくほっと安心することができた。ポルフィが牛乳を分けてもらっていると、農夫の奥さんがミーナらしい10歳くらいの女の子を連れた一行の行方を近所の人に聞いてきてくれる。再び希望に力づけられたポルフィは、夫婦にお礼を言うと疲れた体を気遣いもせず一目散に街を目指して足を急がせるのだった。その頃ミーナたちは列車に乗って旅を続けていた。イザベラは相変わらず元気の無いミーナを慰めようと占いを始めるが、開いていったカードには「死神」が現れてしまう。「ミーナに大きな変化がある」という占いの結果に、すでにミーナを本当の娘のように思っているイザベラは不安を気持ちにかられてしまうのだった。

第42話 「奪われた愛」


(2008年10月19日)

42.jpgある町の工場で、ポルフィは旅を続けるためのお金を貯めるために住み込みで自動車修理の仕事をして働いていた。その日、街の中央を流れる大きな川の中洲にある刑務所では、一人の囚人が逃げ出し、街の人々が行方を探していた。修理工場の主人のロベールは安い賃金で雇い人をこき使うので、働き手の一人のクロードは翌日出て行くことに決め、一緒に工場を辞めて囚人を見つけて報奨金を貰おうとポルフィを誘う。ポルフィは旅費をもっと稼ぎたいために一旦は断るものの、夜、狭苦しく寝付けない寝室を我慢できずに抜け出すと、やはりもう出て行こうと決心し修理中の車の後部座席に毛布と一緒に潜り込むのだった。やがて夜も更けた頃、静まり返る工場にこっそり人影が忍び込んで来る。ポルフィがいるとも知らないまま車を盗もうとした女性は、街の人々が探していたマリアンヌだった。エンジンの音に起こされて顔を出したポルフィを見たマリアンヌは、ビックリするとそのまま急発進した車でポルフィを連れて行ってしまう。

第41話 「南フランスの家族」


(2008年10月12日)

41.jpg国境を越えるトラックの荷台にこっそり隠れたポルフィは、とうとう待望のフランスの地に辿り着いた。しかし、あたりに広がる真っ白な雪景色に見とれていると、トラックの運転手・サミュエルに見つかってしまう。ポルフィはとっさに謝って逃げようとするが、サミュエルは硬い表情のままポルフィの腕を掴むと、無言でトラックの助手席に乗せて走り出した。翌朝到着した山あいの小さな町で、みすぼらしいアパートに連れて行かれたポルフィ。そこでポルフィを出迎えたのは、父の帰りを待っていた少女セシルと幼い弟たちだった。サミュエルは無断でトラックに乗り込み密入国したポルフィを責めることもなく、セシルに寝床と食事の用意を頼んでくれる。亡くなった母親の代わりに、小さな手をあかぎれで一杯にしながら一生懸命家族の世話をしているセシル。辿り着いたフランスでポルフィが出会ったのは、貧しく苦しい生活を送りながらも互いに支えあう家族だった。

第40話 「国境を目指して」


(2008年10月05日)

40.jpg田園ののどかな風景に囲まれ、人気のない一本道を歩いているポルフィ。通りかかった納屋を覗いてみると、中にはふかふかの藁がベットのように広がっていた。ポルフィは思わず手足を伸ばしてくつろぐ内に寝入ってしまう。しばらくしてポルフィをゆすり起こしたのは、納屋の持ち主の青年・ミケーレだった。ポルフィは無礼をわびて出て行こうとするが、納屋の中に置かれているたくさんの絵に気づき感心する。ポルフィに絵をほめられてミケーレが一転して機嫌をなおすと、そのまま2人は夜まで互いに話し込む。ミケーレはパリに行って画家になる夢をポルフィに熱心に語る。しかしミケーレの家族は、働かず夢ばかり追っている息子のことを嘆いていた。ポルフィは母親に咎められても反抗するミケーレの様子に驚き、じっと考え込む。翌朝、再び母親と口論になったミケーレがポルフィと一緒に家を出ようとすると、ポルフィは家族の大切さが分からないミケーレを「馬鹿だ」と怒鳴りつけ、そのまま一人立ち去っていくのだった。