ローズが気持ちを打ち明けたあくる朝、パリの街には静かに雪が降り始めていた。クリスマスイブを迎え、ローズのアパートにも小さなツリーが飾られたが、ポルフィはローズにあげるものが何もなかった。ローズはポルフィが申し訳なさそうにポケットから取り出したガラクタを見ていたが、急にいたずらな表情になりガラクタからナットをつまみ上げる。ローズは素敵な指輪だとポルフィに微笑み、ポルフィに左手を差し出して薬指にナットをはめてもらう。今迄で一番素敵なプレゼントだと喜ぶローズを見て、ポルフィも一緒に嬉しくなる。ローズは暫くナットを見つめていたが、ポルフィにもクリスマスプレゼントを用意すると言うと外出していった。街中の電話ボックスの前に立ち、ローズがコートのポケットから取り出したのは、ティファニーの連絡先だった。ためらいを感じながらも、ナットの指輪を目にしたローズは、微笑みを浮かべダイヤルを回し始めるのだった。一方、ザイミスと近くの公園で落ち合うポルフィ。雪を見たことのない二人は珍しさに暫くふざけ合っていたが、ポルフィは昔母に言われた言葉を思い出しながら、旅の間の出来事への想いをザイミスに話し始める。二人は互いにギリシャにいた頃からとても成長したと認め合うのだった。