世界名作劇場 レ・ミゼラブル 少女コゼット

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レ・ミゼラブル~少女コゼット~ インタビュー

桜井監督とメインキャストの方達へのアフレコ取材が行われました。(収録日:2006年11月15日)

集合写真
左から菅原さん、萩原さん、桜井監督、名塚さん、松山さん

まずは皆さんから作品に対して一言お願いします。


監督:桜井弘明さん (以下:桜井監督)

レ・ミゼラブルはまさに名作です。最初お話を頂いた時に何故僕に?と思ったんですが、原作を読んでみて「やりましょう、今こそやる時です!」と思い、今制作に取り組んでいます。原作と比べ、アニメならではの脚色や、オリジナルキャラクターの登場もあります。 ハード、そしてヘビーな内容の原作ですが、そういう所も残しつつ、視聴者の方が見るのが辛くならないように考えながら制作を頑張っていますので、ご期待下さい。


コゼット役:名塚佳織さん (以下:名塚さん)

そうですね、本当に監督が言うように私も名作だと思っています。実は私はミュージカルで世界名作劇場の作品をやらせてもらっていて、舞台作品としてもレ・ミゼラブルは自分の中で憧れの存在でした。その憧れの作品のアニメが今回新しく始まるということ、さらにコゼットという役をやらせていただけることにすごく感動しています。


ジャン・ヴァルジャン役:菅原正志さん (以下:菅原さん)

原作は学生時代に読んでましたし、ミュージカルの舞台も拝見していました。40を過ぎてまさか自分がジャン・ヴァルジャンの役をやるとは全く予想だにしていなかったです。改めて原作を読み直してから、オーディションを受けさせていただいたんですけれども、監督の「今この作品を作る意味あるぞ」っておっしゃるところまで、役を演じる者として心を同じにして、作品を作っていくというところがすごく難しいところだと思います。 一年間、自分の"40代親父"の誠心誠意を傾けてジャン・ヴァルジャンの持つヒューマニズムを、現代のお客さんである視聴者の方々の価値観に添う所まで高められたらなと思っております。


ファンティーヌ役:萩原えみ子さん (以下:萩原さん)

小学校のときの読書感想文の課題図書に挙がっていたような作品で、更にアニメーションのほうも、私が小さい頃からずーっと見ていた世界名作劇場シリーズに出させていただけるということで、オーディションの時はすごく楽しみで、母親役というのは初めてなんですが、自分が今この役を受けさせていただけるっていうことで、どんな風に膨らませていけるのかとか、どんな風に表現できるのかとか、そういった事を楽しみにオーディション受けさせていただいて、いざ決まってみると、「あっ、すごいことになってしまった!」という風に実感して、その責任を感じています。
私が(世界名作劇場の)アニメーションシリーズを見たり、小説を読んだ時の気持ちを、これから見てくださる方に思ってもらえるようにできるんじゃないかなって思っています。 今何話か収録が終わって試写も見させていただいて、その時に出演者のみんなで涙して見られた作品だったので、本当にこれからが楽しみですし、(試写が)すごく良かったなと思い、また新たに頑張ろうと思えたので、たくさんの方に見て頂いて、この作品についてお話ができるようになれたらいいなと思っています。自分自身も成長して、後に私に子供が出来たときに(自分の子供にも)是非に見てほしいなと思います。


ジャヴェール役:松山タカシさん (以下:松山さん)

もうほとんど(皆さんに)語り尽くされてしまったようですが、今子供の話が出たので、それに関連付けて言わせて頂きます。 僕には今、子供が2人いるんですけど、その子供には是非見せたい作品です。僕も子供の頃、たぶん一番最初に夢中になって読んだ「ああ無情(レ・ミゼラブルの邦題)」。その夢中になって読んだ本で、まさかそれに僕が出るっていうのは本当に夢にも思っていませんでした。、ただ、その僕がやらせていただけるジャヴェールという男がどうしても記憶の中にはなかったんですね。それで改めて読み返してみて、それで「あ、こういう男もいたんだ」と。何が大切で何がそうじゃないのかっていうのが、たぶんこの男を通してわかってくるんじゃないかなって思っています。


キャストの皆さんにお伺いします。ご自身の役の印象と今日もアフレコを終えた感想、どんなことをポイントに演じようと思っていらっしゃるか教えてください。


名塚さん
今日は特に強く感じたんですけど、アフレコをやった後にすごい"燃え尽きた感"があるというか、"舞台をやった"という感覚があり、一つの芝居を通してやったな、というのが自分の中にありました。レ・ミゼラブルの収録はまだ2話目なんですけれども、毎回その燃え尽きた感が味わえたらいいなと思うので、これから先もその部分で、ずっと気を緩めずにやっていきたいなと思います。 キャラクターとしては、すごく"透明感のある子"だなという感じがします。純粋なコゼットが周りの社会の状況に影響されてどう変わっていくのか、どういう風にこれから展開していくのかっていう部分を、彼女の目線で受け止めていけたらと思っています。その為に今はなるべく自分の中を無の状態にしてます。そして"信じるものは母親"という部分も大事に、そこから広げていけたらなって思ってます。

――3才のコゼット役の松元環季さんに影響された部分もあるそうですね。

そうなんですよ。特に私が刺激を受けた部分というのが、"子供らしい透明感"にすごく衝撃を受けて、それが自分のイメージに沿っていたコゼットだったので、私も3才の声が出るなら、こういう感じを求めていた!っていうのがすごくありましたね。嬉しいと思う反面「これをしっかり引き継がなきゃ!」って思って、特に今日の収録はそこの"繋ぎ"の部分だったので、集中して臨みました。 子役の子を見ながら、そして周りの状況を見ながら、一つずつをゆっくり吸収するような感じで、演じることに気をつけています。


菅原さん
音声表現で何かを演じようとする時、自分なりに台本を読んで、音声的に構築していく、或いは造形していくと言いますか、自分で策略を練るんですけど、今回はとっても難しい役なので、あんまり一生懸命考えて色々こざかしいことをすると、かえって裏目にでることが多いので(笑)もう、まんま自分だったらどう思うだろう、つまり当事者意識というか、あんまり"演じよう"とか、そういう意識を持たないで、僕だったらこう考える、こう動くという素直な気持ちを大切にして、オーディションも含めて今までの収録はやってきています。 今後、一年間の長いスパンの仕事なんで、どうなっていくのかわかりませんけど、とにかく44歳の自分をジャン・ヴァルジャンの中に探しながら、そのまんま自然に演じていければなと思います。

――ジャンヴァルジャンってどういう男だと思われました?

もうそれは小説を読めばもう一目瞭然なんですけれども、ただ、過去のある男の陰影みたいなものっていうのを、具体的に自分でこうだ!っていう風に作っていくのって非常に難しいですよね。ですので、毎回絵を見て監督とお話しながらやっていくしかないかなっていう風に思っています。
(監督)語れるキャラじゃないしね。 (一同笑)
むしろ言葉よりそっと差し伸べる手であったりとか、或いは子供に対して一言で勇めたり、諭したりというポジションなので、監督のおっしゃったとおり"語れるキャラ"ではないですね。


萩原さん
まずキャラクターを見せていただいて、作品を読ませていただいた時に、すごくキレイな優しい感じのキャラクターだなって思ったのがまず第一印象なんですけれども、一話目の収録に臨んだ時に、私はまだ年齢的なことというか精神的にまだ子供で、どうしても子供としての感覚で母親を見てしまいました。
母親がいなくなった時、もしも今いなくなってしまったらどうしようという気持ちとか、離れ離れになった時(今実際に離れて住んでいますが)、そういう、会えなくなるっていう状況に、すごく共感してしまったんですね。でも、それは私の役柄ではないんですよ。その中で、自分がまだなっていない母親っていう立場から自分の子供を思う時にどう思うかっていうのは、正直、想像の範囲でしかないですよね。ペットでもない、おもちゃでもない、"自分の血を分けた子供"っていう時に、もしかしたら、実際にお子様がいらっしゃる方よりも理想像が、すごい強いんじゃないかなと思います。
そこを上手く、ただの押し付けなんかにならずに、素直に、この空気の中で感じて言葉にしていって、とても愛しい相手だけれど、恋人ではない、自分の子供という所を表現していきたいです。今収録している話ではコゼットと離れて暮らしているので、成長過程が見られない状況で、手紙を書くシーンとかがあるんですけど、実際もっと大きくなっているであろうコゼットに、小さい子に言うように文を書いているとか、その点は意識をして演じていますが、本当に、変に考えすぎず、みなさんと一緒に作っていきたいなと、いう風に思っています。


松山さん
親が子供を殺したり、子供が親を殺したりという、昨今…この作品が、そういう人たちが見た時に、どういう風に受け入れられるのかなぁって思うと、ちょっと僕は怖いように思ってしまうんですけど、でも今こういう作品をどんどんやっていかないと、自分も参加していかないと、後悔するような気がするので、逃げずにいきたいと思います。 今まで、役をもらうと、色々自分で特徴や癖とかっていうのを自分で考えて、自分なりに色々戦略を練って、こざかしいことをやるわけですけれども(笑)もう、それをちょっとやらせてくれないような、役…というか作品なので、本当に逃げずに真っ向からいこうかなって思っています。


桜井監督
素晴らしい!みんな素晴らしい!!

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左から名塚さん、萩原さん

役を演じるに当たって、一番苦労した点、そしてこれから楽しみな点はなんですか?


名塚さん
苦労した点は…う~ん。苦労と言えば作品自体がそういうものですし、何もかもっていう感じになってしまうんですけど、オーディションを受ける段階から、キャラの絵を見せていただいて、セリフを見た瞬間から私の中でのコゼットは今やっている感じだったんですよ。でも、もちろん現場に行って、どんどん変わっていきます。 今日の収録の時に自分ですごく実感したんですけど、テスト録音も本番録音も、後半になるに連れて受け答えの関係で自分がイメージしたものと変わってきたなっていうのがありました。その部分で他の役者の方とのやりとりをしっかりして、自分のことだけでいっぱいいっぱいにならないで、周りを見て色々と吸収しながら、対話していかなきゃいけないんだなって改めて思いました。

――楽しみなところはなんですか?

どっちかって言うと家で台本を読んでくるとかっていう作業よりは、現場に入ってどれだけ集中して、そこで新しいものを生めるかっていう部分がすごく難しくもあり、自分のなかでは楽しい、っていう感じがあります。 さっき言った、終わった後の"燃え尽きた感"があるのは、たぶん自分の中ですごく楽しんでるんだなって思います。なんか、こうすごく、発火してるというか(笑) 自分の中が燃えてるというのが、感覚として実感としてわかるので、いつも苦しい作品ほどおもしろいと私は思うんですよ。現場というこの張り詰めた空気の中で、これだけ楽しめてるっていうのはすごく幸せなことだなって思います。毎回この感覚を大事に、色んなことをこの一年間で吸収していきたいです。


菅原さん
やっぱり、こう演じてやろうとか上手くやってやろうとか、そういう高慢な意識を捨てることと誠実に向き合って行くことですかね。それだけです。

――今後楽しみな点は?

一年間という長いスパンなので、ジャン・ヴァルジャンという人間の優しさと向き合うことによって、自分がどう変わっていくんだろう、或いは、変な話ですけど、役者として人間として僕はどんな中年になっていくんだろうっていうことが気になります。 とても大きな役なので、自分の新しい挑戦だと思ってますので、一年経ってどうなっているんだろうっていうことが楽しみですね。あと、作品の持つ世界、それをちゃんと視聴者の方に渡せるだろうかっていう所ですね。


萩原さん
何かをやってやろうというよりは、どちらかと言うと足を引っ張らないようにとか、失敗しないようにとかっていうほうがまだまだ強くて仕方がないほうなんですけど、それはもうやめようと。 NGを出しても…ってごめんなさい!(苦笑)でも、ダメなときはダメでも頑張ってみようっていうか、例え噛んでしまったとしても、そういうほうがいいかなって。せっかく、この現場っていうのは、ベテランの方から若い方まですごくバランスがいい現場ですので、「ぶつかっていこう!」という風に、失敗や及第点を狙わずにやると決めてやっています。
あとは、ファンティーヌはコゼットたちのやりとりとちょっと別の所にいるので、(収録で)あまり影響されないように、「ごめんね!コゼット」とか、「あ、そんなこと言わないで!」とかっていう風に、どうしてもハラハラしてしまったり、すごく悲しい気持ちになったり、そういうのがわーっと出てしまうのが怖いですね。 現場でお仕事をしていますので、ファンティーヌのいない場所でのドラマを見ているので、色々なシーンを見ていると、そこにちょっとこう、グッときてしまったりするので、ファンティーヌがいる場所はそことはまた別なんだっていうのをちゃんと踏まえないといけないなって気をつけています。そこに飲み込まれないように、ジャン・ヴァルジャンとのやりとりの部分とか、これからジャヴェールとのやりとりの場面とか出てくると思うので、他とはちょっと一線違う所にいる自分というのを、ちゃんと保っていかなきゃなという風に思います。

――楽しみなところは?

収録の中でのやりとりっていうのを楽しんでます。子供さん達のやりとりとか、すごいかわいらしかったり、意地悪をしてみたりするところも、「あ、子供ってこういうところあるよな~」っていうのをすごく感じたりするので、そういうのをすごく楽しみに、していかないと辛いかなと(笑)でも、そういうところがあるからストーリー自体がすごく重い話になるところがあったとしても、ちょっとホッとできたりするところなのかなって思います。


松山さん
苦労した点…う~ん、ごめんなさい、そんなには苦労してないかもしれないです(笑)

――役作りも自然にできたと?

そうですね、ちゃんと話はしっかりしているし。あと、絵で全部語っていってくれていると思うので、先程言ったようにあんまりこうどういう風にしゃべろうとか、そういう風には思わないで今のところいけてるような気がします。
(菅原さん)おそらく、苦労はたぶんこれからすると思います。まだ始まったばっかりですし(笑) (一同笑)
(監督)逆に"自然に"っていうのは、キャストのみんなはオーディションを乗り越えてきている人達だから、その時点でキャストの人たちに自然でいってもらうっていうつもりが僕のほうにあるんで、だから役を作ってるって感じじゃないかな。

――なるほど。それでは楽しみな点をお願いします。

やっぱり、子供が見て喜んでくれるだろうなっていうのが、一番の楽しみです。ただ、BSフジは見れるかちょっと…なんとかしなきゃいけないな、とは思ってます(苦笑)

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左から松山さん、菅原さん

世界名作劇場のシリーズに対する思いや思い出を教えてください。


桜井監督
僕は名作劇場だと、母をたずねて三千里はビシッと見たんですよ。泣いた泣いた! (一同笑)輝けるイタリアの星一つ、とかね。だからそれなりにプレッシャーは凄いんですよ。でも、プレッシャー凄いなぁってところに「この凄い原作で(監督を)やりたい!」って気持ちになったら、もうプレッシャーもそのうち、「カモン!プレッシャー!」ってなりました。 (一同笑) もうプレッシャーに負けてる場合じゃないっていうので、もう思いは「これを全世界の人に届けたい」ということです。あとはそうですね、先程松山さんが言ったような、気持ちが荒んでいる人たちの心があらわれてほしいな、という気持ちも思いもあります。


名塚さん
私も名作劇場で「ロミオの青い空」を見てました。
(監督)若いですね(笑) (一同笑)
小学校の時ぐらいだったと思いますが…もっと幼い頃からも名作劇場をずっと見ていて、その中でも「ロミオの青い空」は一番好きでした。 私は小さい頃に名作劇場の「トラップ一家物語」などの舞台をやらせてもらってて、トラップ一家では、アガーテ役からヨハンナ、ヘートヴィッヒまで代々やらせてもらいました。アニメの方はその間も色んな作品を見せてもらって、自分の中ですごく印象的だったのが「ロミオの青い空」。未だにカラオケとか行ったりすると主題歌を歌ってしまいたくなるくらい大好きです(笑) (一同笑)

――レ・ミゼラブル 少女コゼットという作品についてはどうですか?

世界名作劇場は幼い頃から見ていたアニメだったので、実感が湧かないっていうのが正直な気持ちです。たまにふと「あ、名作劇場に出られるんだ」と思って、「どうしよう!」って考える瞬間があるんですけれども、現場に入った時は、監督が言ってたように「プレッシャーに負けてる場合じゃない」、「そんなこと考えてる場合じゃない」っていうのが自分の中にあるので、プレッシャーに圧迫されるっていうことはなく、今はやっている感じですね。 私も、毎日のようにあんまりよくないニュースを見て、世の中はどうなっちゃったんだろうって疑問に思う瞬間がよくあります。 なので、この作品は子供に限らず、親にも見てもらいたいなって思います。世代を分け隔てなく、色んな方に見ていただいて、たくさんの方の心が動いてくれたらなと。この作品を通して子供に対する愛情の気持ちとかも生まれてくるんじゃないかと思いますし、そういう世の中が戻ってきてほしいっていう思いがあるので、本当に今復活してくれてすごく嬉しく思います。


菅原さん
世界名作劇場っていうのは、僕らの世代だとアニメを見なくなった頃に隆盛を極め始めたので、すみません、ちょっと僕は「フランダースの犬」さえ見てないオヤジなんですよ(苦笑) ただ、そのネームバリューはもちろん存じてますし、そこにまさか自分が出るとは思ってもみなかったです。毎年お正月の年賀状と暑中見舞いくらいしかやりとりのない、親戚のおばあちゃんとかに「おばあちゃん、僕こういうのに出るんだけど」って言えるアニメ作品にやっと巡り合ったなと(笑)そのことが何より嬉しいです。


萩原さん
私は小さい頃に一番好きだったのが、ふしぎな島のフローネという、もう本当に漂流した先で家族みんなで生活するっていうお話なんですけど、あれはすごい印象的でした。 ただ、学生の頃に小公女セーラごっこが流行りまして(笑)セーラのライバル?といいますか、主人公のセーラをいじめてしまうラビニアという子がいて、女子校だったんですけどその子のものまねの「ラビニアごっこ」がすごく流行ったのですごい覚えてるんですね(笑) (一同笑)
(監督)学校で流行ったんですか?
流行ったんですよ(笑)最後の最後でセーラがダイヤモンドプリンセスになるお話の時に「あなたがダイヤモンドプリンセスなら私は大統領夫人になって再会よ」みたいな話があるんですが、あのネタがすごく流行って、それがすごい思い出にあるんですけど、なので子供だけでなく、中学生高校生の心も鷲づかみに(笑)何気なくみんなが見ていて、次の日学校に来て話に入れないといけないぐらいの勢いでもあったんですよ。 私はこのオーディションを受けさせていただいた段階で、"世界名作劇場"のシリーズだったいうのを知らなかったので、なんかそういう感じの雰囲気の作品なんだなぁぐらいにしか思ってなくて、後でその話を聞いて「あぁ!」ってその時のコトをすごく鮮明に思い出しました。
私はずっと、名作劇場の作品を色々みてきた世代だったので、本当に嬉しかったし、アニメをあんまりご覧にならない方たちや自分の両親祖母にも「是非見てみてください!」って思います。知り合いのみんなや、わたしよりも上の世代の人たちも「へえー、懐かしい!」って言ってくれたので、たくさんの人に広めていきたいなと思います。


松山さん
僕も、(菅原さんと同じく)あまり見てなかった世代なので、世界名作劇場って言うんだ…みたいな感じで(苦笑)
(監督)実は僕も、本当はこの業界入ってから見たんですけどね(笑) (一同笑)
そうなんですよ。「世界名作劇場」っていう冠がついてるものに僕が出ていいのかなっていう感じで…「浦安鉄筋家族」だったら"俺だな"っていう感じなんですけどね(笑) (一同笑) 世界名作劇場…?(僕が出ても)大丈夫かなって思うのがまず第一です。
(監督)僕が監督やってるから大丈夫です(笑) (一同笑)
ありがとうございます(笑)あとは、この作品は"生きる"という話なので、本当に今、色々悲しい事件で死んじゃう人たちすごく多いので、そういう人たちにたくさん見てほしいなと思います。"生きる"っていうことがどういうことなのか、っていうことがこれからどんどん出てくると思いますので、その辺りを楽しみにしていただければなと。


監督にお伺いします。作品を作る上でのこだわりや、意識していることっていうのはありますか?


桜井監督
そうですね、こだわりはそこらじゅうにあるんですけど、この作品はもちろんのこと、いつもアニメ作るときに考えていることと共通してるんですが、(アニメというのは)絵の架空の人物、お話の中の人物なんだけれど、やっぱり実際に自分の横にいるっていうつもりで動いてもらって、話してもらって、反応してもらってっていうのは、ずーっと思ってますね。今うちにも幼児が二人いまして、うちのコゼットとうちのガブローシュみたいな。 だから絵コンテを見てて「ガブローシュ、かわいいなぁ!」ってなっちゃうんですよ(笑)だから、人間味を常にキャラクターみんなに持たせるようにしてますが、もし、「これはちょっとなぁ~?」ってキャストの皆さんに言われたら直します!(笑)そういう柔軟性も持ちつつ、ですね。
原作はバァーン!ってあるんですけれど、時代が何しろ19世紀に書かれた物語ですし、今21世紀の皆さんに見てもらうためには少し時代に合うように変えないといけない部分もありますし、変えてはいけない部分もちゃんと見据えて、ビクトル・ユゴーの墓前に「これができました!」って持っていってもいいようなものにしたいという心構えでいます。 (一同笑)

――監督がその中で、作品を通して視聴者の方に伝えたいメッセージはありますか?

それはやはり"思いやり"ですね。慈悲の心。この作品がもう、そういう"思いやり"が大事だよということであったり、日本人が口にするとちょっと恥ずかしい"愛"、それを周りの人も持ちましょうよということが伝わってほしいなと思います。




世界名作劇場 レ・ミゼラブル 少女コゼット